現在オンライン >プレイヤー:   トーナメント:  

戦いを終えたポーカー エリートたちの娯しみ: 人狼ゲームを覚えよう

嘘、欺き、言い掛かりが当たり前のパーティー ゲームなんてどうですか。人狼ゲームは心の弱い人には向いていませんが、世界屈指のポーカー プレイヤーにとってはポーカーの戦いが終わった後にぴったりの気晴らしであることが 2019 PokerStars Caribbean Adventure (PCA) で分かりました。

psblog201903221.png

PCA $25K ハイローラーの Day 1 が終わったバハマの深夜、十数人のポーカー スーパースターが Atlantis のトーナメント ルームを出ました。早朝の予定はベッドへ直行だったり、ディナーを楽しむことだったり。
Coral Tower のロビーを通ってホテルの客室に向かう途中、よく知っている顔が大勢集まって何かをしていることに気づきました。輪になって座り、目を固く閉じて、両手で膝を叩いています。1 人がその間を歩きながら何か指示しています。瞑想でもしているのでしょうか? 実はカルト集団?
一体何事でしょう?

24 時間後、同じように仕事が終わってロビーを歩いていたときのことです。今度は数がさらに増えていました。その後の数晩、Sam Grafton、Scott Seiver、Dietrich Fast、Jonathan Jaffe、Max Silver、Calvin Anderson、Ole Schemion、Jerry Wong、Toby Lewis をはじめとする面々が集まって何かをしていました。
PCA 期間中のある時点で好奇心が抑えられなくなった私たちが訊いてみたところ、瞑想とは関係なく、新たなカルトでもなく、人狼ゲームという室内ゲームをプレイしていただけでした。ポーカー プレイヤーにぴったりのゲームで、夜な夜な大勢のトップ プレイヤーたちが集まってくるのも無理はないことがすぐに分かりました。


「マフィア」との関連

人狼ゲームのルールは簡単です。参加する人は「村人」と「人狼」に分かれます。村人は人狼の数が村人を上回る前に人狼を殺さなければなりません。人狼は議論や嘘の告白、正面切っての嘘、巧妙なだまし合いを通じてなんとか生き残らなければなりません。十分な数の村人を殺したり、村人を同士討ちさせたりすれば人狼の勝利です(詳しいルールは後述)。
どことなく聞き覚えがある人は、古いバージョンをプレイしたことがあるかもしれません。Sam Grafton がそうでした。彼は PCA で毎晩人狼ゲームに参加した 1 人です。

「初めてプレイしたのは大学時代で、『マフィア』という名前だった」とようやく人狼ゲームの謎を解き明かした時に教えてくれました。「あと数年前に大勢でオーストラリアで Airbnb で部屋を借りて、毎晩午前 4 時までやったりしてた」
マフィアは 1986 年にロシア人高校教師の Dmitry Davidoff が発案したゲームで、村人と人狼の役割はそれぞれ『罪のない人たち』と『マフィア』でした。正しいことを見分ける方法として生徒にこのゲームを教えましたが、すぐ人気が出て 1 年後にモスクワ州立大学の心理学科でゲームを紹介することになったのです。Davidoff は心理検査とチーム ビルディング戦略を完璧に融合したものだと主張しました。

このゲームの評判はすぐに広がりました。1990 年代のソビエトでは大学や学校で当たり前のようにこのゲームが行われるようになり、あまりにも人気を博したため、ラトビアではこのゲームをベースに有名人がマフィア ゲームを行うリアリティー番組が制作されました。しかし、マフィアは改良の余地があるし、名前がよくないと感じていたインタラクティブ フィクション ライターの Andrew Plotkin は1997 年にマフィアが文化的レファレンスとして十分ではないと主張し、もっと適切なテーマを据えることにしました。「夜」と「昼」のフェーズに分け、日中は無害に見えても夜には邪悪になる敵を見つけ出すことが目的のゲームです。こうして人狼ゲームが誕生しました。


psblog201903222.jpg

Andrew Plotkin (写真提供: Ben Collins-Sussman)

「僕はこのゲーム デザインに魅了されたんだ」と Plotkin は wired.co.uk に語っています。「これほど純粋に戦略に基づくゲームは見たことがなかったね。カード デッキを使わず、相手のベットに対してベットするだけだったらポーカーもそういうゲームになるだろうね。そんなはずじゃなかったんだけど、うまくいったんだ」
Grafton も同意見です。「このゲームは本当に楽しいんだ。ディナー パーティーにもってこいだよ。人狼の時はほかの人狼たちと勝利を目指すから本当に結束が強くなるしね。信じていた相手に実は騙されていたときは本当に混乱するけど、本当に楽しいんだ」


人狼ゲームの遊び方

人狼ゲームの素晴らしい点の 1 つは、人が集まればどこでも遊べること。夕食の席で友人や家族とプレイしたり、あるいは 1 日ポーカーをプレイした後で楽しんだり。
まず最初に 1 人のゲームマスターを指名します。ゲームを円滑に進行させることがその役割です(一般に毎回ゲームの最後に役割を交代します)。最低 7 人が人狼と村人の 2 チームに分かれます。人狼の方が村人より少なくなるようにします。ゲームマスターが各自にカードを配って役割を決めます。ゲームの最終目標は村人が人狼を全滅させるか、人狼が村人の数を上回ること。

自分の役割はゲームが終わるまで明かすことはできません。これが人狼ゲームの中心にある謎です。村人は常に人狼の 3 倍ぐらいになるようにします。たとえば、8 人でプレイするなら人狼は 2 人にし、12 人以上でプレイする場合は 3 人にします。

最初にカードを配る際に、村人の 1 人に「占い師」の役割が与えられます。占い師については後で説明します。
ゲームマスターが「夜」と「昼」を切り替えます。「夜」が始まると全員が顔を伏せて目を閉じ、情報が洩れて不公平にならないようにテーブルか自分の膝を叩いて雑音をかき消します。

ゲームマスターは人狼に目を開けるよう指示します。人狼は誰が仲間か分かったら、(音を立てずにジェスチャーで) 殺す相手を 1 人指名します。通常は村人が指名され、人狼の最初の犠牲者となります。
人狼が再び目を閉じるとゲームマスターは占い師を起こして、「誰について聞きたいですか?」と尋ねます。
占い師は目を開けることを許され、自分の役割がほかの人にばれないように音を立てずに 1 人を指さします。選んだ人物が人狼だった場合はゲームマスターは親指を上に向け、村人だったら親指を下に向けます。続いて、ゲームマスターが「占い師は目を閉じてください」と言います。

「夜」が終わると、ゲームマスターは全員に目を開けるように言い、誰がが殺されたかを知らせます。殺された人は輪から外れますが、自分が村人か人狼かを明かすことはできません。
そして「昼」が始まります。大半の人は誰が村人で誰が人狼か分からない状態です (人狼だけが知っています。場合によって占い師も知っています)。(ゲームマスターの指示によって) 10 分~ 15 分程度かけて自己紹介をし、議論や質問をし、相手の役割を決めつける言葉を浴びせ、最後にどのプレイヤーを殺すかを多数決で決めます。村人は人狼を殺すことを望んでいます。

選ばれた人は自分が何者かを明かさずにゲームから外れます。そして再び「夜」に移ります。同じことを繰り返して、人狼が全滅するか (村人の勝利)、人狼が村人の数を上回る (人狼の勝利) までゲームが続きます。

psblog201903223.jpg

人狼ゲームの「夜」の様子 (名義: Creative Commons/Puik)

これが最も基本的な形ですが、大人数でプレイする場合にはさらに多くの役割があります。
「人狼 2 人、占い師 1 人だけでほかに特別な役割のないとてもシンプルなバージョンもプレイできるんだ」と Grafton。「でも PCA でプレイした時はキャラクターのバランスをとって、サイズに合わせて人狼の数を決めたよ」
「20 人の時もあったからね。それだけいると、バランスが悪いと一気に村人が有利になっちゃうんだ」

特別な役割

医師

村人の 1 人を「医師」に指名します。人狼が最初の「夜」の犠牲者を選んだ後、ゲームマスターが人狼に目を閉じるよう言います。それから医師を起こして「誰を治したいか?」と尋ねます。医師は人狼が殺そうとしている人を助けるチャンスを得ます。
医師は (医師もほかの人に自身の役割を明かすことはできません) 音を立てずに人を選択します。人狼に殺された人でも蘇らせることができます。「昼」になるとゲームマスターは救われた人がいることを誰かを明かさずに発表します。

用心棒

用心棒は医師と同じく村人の 1 人で、助ける人を「夜」に 1 人選びます。選ばれた人は用心棒に守られていることを知らされますが、誰に守られているのかは分かりません。その人が次の「夜」に人狼に殺された場合は、用心棒が身代わりとなって殺されます。用心棒は「夜」に誰も守らないことを選択したり、同じ人を何晩も続けて守ることを選択したりできます。

占い師の詳細

占い師はゲームに欠かせない役割ですが、プレイするのは一筋縄ではいきません。毎晩 1 人が人狼または村人であることを知る特権がありますが、そのせいでトラブルになることもあります。あなたが占い師で、突然ある人が人狼だと訴え始めたら、人狼はあなたが占い師だと確信するでしょう。そうしたら次の「夜」に人狼に殺されてしまいます。
自分の役割が人狼にばれないように仲間の村人の投票に影響力を及ぼす綱渡りのプレイが求められます。

以上で説明は終わりです。念のため、15 人でプレイする場合に必要なものを紹介しておきます。

• ゲームマスター 1 人
• 「村人」カード 8 枚
• 「人狼」カード 3 枚
• 「村人 + 医師」カード 1 枚
• 「村人 + 占い師」カード 1 枚
• 「村人 + 用心棒」カード 1 枚

臆病な人はご遠慮ください

パーティー ゲームの大半はくつろいで楽しめる作りになっています。たとえば、ジェスチャーゲームなら 1 人が立ち上がるだけです。『Cards Against Humanity』では誰も何も必要ありません。
人狼ゲームはほかのパーティー ゲームとは異なるため、万人向けのゲームとは言えないかもしれません。
「このゲームの緊張感が好きじゃないっていう人もいるね」と Grafton氏。「時に激しい個人攻撃を行うようなこともある。自分は村人なのに誰かが自分のことを人狼だと言い張ることがある。本当に嘘をついていないのに『お前が嘘をついていることは分かってるぞ!』ってね。こういう時は本当に頭にくるよ」


psblog201903224.jpg

Sam Grafton はすぐに人狼ゲームの常連に

知っての通りポーカー プレイヤーはこういった緊張感には慣れっこです。抑えの利かない競争心の発露も厭いません。実際そういうのを利用するんだ、と Grafton氏 は言います。

「ポーカー プレイヤーのゲームに向かう激しさはクレイジーだよ。ポーカー プレイヤーとあらゆるタイプのゲームをプレイしてきたけど、これほど真剣に何が何でも勝とうとするのは尋常じゃないね。でも僕らにとっては当たり前のことなんだ。だから自分にそういう傾向があって、ポーカーに惹かれて、いいプレイヤーになるか、そんな傾向はないかのどっちかだね」
でも、人狼ゲームがポーカー プレイヤーにぴったりな理由は競争心を煽るところだけではありません。ブラフや緻密な計算から GTO や搾取的戦略まで非常に多くの点で重なるところがあるようです。

「ポーカーの大好きな要素が人狼ゲームにもたくさんある」と Grafton氏。「腕の立つポーカー プレイヤーなら、特にライブ プレイヤーならうまくやれるはず。ボディランゲージや癖が読めるからね。人間って嘘をついたり、じっと凝視されたり非難されたりするのは苦手なんだよ。だからライブ ポーカー プレイヤーはその点では先を行ってる」

「ポーカーとちょっと似ているところはメタゲームができるところだね。「たとえば『村人の時はうるさかったけど、今は静かだ。つまり人狼ってことか?』と推理したり。村人の時に声高に主張するのはとても簡単だけど、人狼の時はそうはいかない。その点でうまくいってないなら、バランスを見て控えめに振る舞わないと駄目だ」

テンションがかなり高まることがあり、少しでも弱気なそぶりを見せれば熟練した相手の餌食です。これに対抗するために、上手な人は真っ先に経験の浅い人を追い出す傾向があります。「経験が浅い人は良い村人にはなれないことが多いからね」と Grafton氏。「ちょっと意地悪だけど、たいした戦略のなさそうな人は追い出しちゃうのが最善の手だね。経験の浅い人がいきなり 10 人から質問攻めにされたら大抵即座にギブアップするよ」

反対に、手練れの上手な人狼は最初の「夜」に強い人を追い出して、村人の戦略を邪魔しようとします。Grafton氏 によれば、PCA で行われた人狼ゲームで一番上手かったのは Jaffe氏 と Joe McKeehen氏 でした (「Jaffe が村人のときは真っ先に追い出されることが多かった。夜になるとすぐに人狼に殺されるんだ。だから Jaffe が最初のラウンドを生き延びたら人狼だってことが明らかだったよ」)。

psblog201903225.jpg

Sam Grafton によれば最も優れたプレイヤーの 1 人の Jonathan Jaffe

「昼」の戦略

特に初めてプレイする時は最初の「昼」の会話がぎこちなくなりがちです。でも、あまり喋らないようにしてレーダーに引っ掛からないようにするのは逆効果です。村人は自ら動いて、生き残るために闘わなければなりません。「静かな村人は嫌だね。よく話す人や、勝つために最善を尽くす人がいいよ」と Grafton氏 は言います。

「言うことを頭の中で素早くリハーサルするといいんだ」
「PCA で最初に人狼になった時に失敗しちゃって本当に恥ずかしかったよ」と Grafton氏。「立たされて『今のところ手がかりになることは何もないけど、村人じゃないことは約束するよ』とかなんとか言っちゃったんだ。で、皆が「え、何だって?」って。それで「あー、つまり、僕は人狼じゃないってこと」ってうっかり言い間違えちゃったわけ。で、やられた。あれは恥ずかしかったよ」

もし友人たちとゲームをすることになって全員が初めての場合、最初の「昼」はどう進めれば良いでしょうか? Grafton氏 は全員発言した方が良いと言います。「最初のラウンドは面白いよ。何らかの情報をうっかり漏らしてしまう。嘘をつくのってすごく難しいからね。皆に話させるんだ」

ゲームが進んで慣れてきたら、友人に向かって信じられないほどうまく嘘をつける自分がちょっと怖くなるかもしれません。でも心配は無用。人狼ゲームでは嘘をつき続けても全然構わないのです。Grafton氏 は、嘘をつく能力のおかげで大きな成果が得られた PCA での強烈な体験のことを覚えています。

「特別な役割をたくさん入れてプレイしていたんだけど、僕のほかにも人狼が 2、3 人いたんだ。ほかの人狼はすぐ全滅で、村人が 2 人くらい残ってた。全員で 14 人。僕は最後の人狼だった」
「特別な役割の人に名乗り出るよう言ったんだけど、誰も用心棒として名乗り出なかったんだ。最後に残った人狼が一人で勝つのはすごく厳しいって知ってたので用心棒のふりをしたんだけど、ほかに誰も名乗り出なかった。つまり、本物の用心棒はすでに殺されていたわけ」

「これは危険な賭けだったね。ほかの誰かが用心棒だと名乗り出たら、僕が人狼だとばれて殺されることになるからね。幸運にもみんな僕が用心棒だと信じて Joe McKeehen も役割を名乗り出た。それで僕と Joe と何人かは村人であることが証明された (僕は人狼だったけど) のでほかの人を 1 人ずつ殺していった。僕が疑われることはまったくなかった」
「僕と Joe と Jerry Wong と Sam Panzica が残った。「夜」に Sam を殺して「昼」になった途端、Jerry は僕が嘘をついていることに気づいたんだよ。人狼だと名指しされた最後の一人で、自分が人狼じゃないって知ってるんだからね。「昼」は基本 2 分間なんだけど、彼は Joe (村人だと確定済み) に僕が人狼だって言ったんだよ。


psblog201903226.jpg

Jerry Wong は人狼ゲームで Grafton と「ヘッズアップ」

「Joe は僕ら 2 人を立たせ、30 秒話した。Joe は僕をにらみ、Jerry は僕が人狼だと言った。僕は『なぁ Joe、Jerry が人狼だよ。自棄になってるんだよ』とかなんとか言ったんだ。Joe は 1 分半かけて考えた末に僕が人狼だと言ったんだよ。正解だね。あと一歩で最後の人狼として MVP になる所だったんだけど、Joe McKeehen が凄すぎたね」
その瞬間、ハイローラー大会で覚えるのと同じような感覚を覚えました。
「まるでポーカー トーナメントに出てるみたいな感覚だった。常にじろじろ観察されて、自分の話に筋を通さなきゃならないんだ。いろいろ質問してくるから。これがものすごく大変なんだ! いくら嘘をつくのが得意でも『Jerry は見え透いた嘘をついてる!』って説得力を持たせて言うのは難しい。自分で嘘じゃないって知ってるからね」


これで以上です。ゲームについて知り、ルールを学び、基本的な戦略も少し覚えました。人狼ゲームを主催する時は私たちも行くので教えてください。
その前に Grafton氏 に最後の質問をしました。まだいっしょにやっていない人で人狼ゲームが一番うまそうなポーカー プレイヤーは? 一番下手だったのは?

「Stevie Chidwick はすごく上手だろうね。テーブルでも何を考えているか分からないし。でもそれって何も話していないときだから、実際は分からないけどね」と Grafton氏。「Jonathan Jaffe と Joe McKeehen はとてもうまいよ。Joe はだますのがうまい。

psblog201903227.jpg

Joe McKeehen は「うますぎ」

「Toby Lewis はすごく下手で、耳が赤くなっちゃうんだ。『ぼ、ぼくは、じ、人狼じゃない......』って。『だよね、はい』ってすぐ殺されたよ。今まで人狼ゲームをしてきて一番痛々しい瞬間だったね」
大事な教訓です。人狼ゲームのような嘘、欺き、告発のゲームで耳が赤くなるのは命取りで、生きたまま食べられてしまいます。

あなたも人狼ゲームをプレイしてみるつもりですか? 顛末を Twitter (@PokerStarsBlog) までお知らせください。




アーカイブ

[an error occurred while processing this directive]